商工中金スピード人事、ちらつく経産省の影 民営化提言の骨抜きも



 商工中金次期社長の内定は、11日に政府の有識者検討会が提言をした翌日という“スピード人事”だっただけに、金融業界には波紋が広がった。提言前に社長人事は大筋で決まっていたとみられ、主務官庁の経済産業省の“影”がちらつく。提言では4年後の完全民営化も求めているが、経産省内には慎重論が根強く、今後、骨抜きにされる可能性もある。

 「強いリーダーシップ、前例にとらわれず困難を克服してきた経験、そして改革を机上の空論とさせない現場力を兼ね備え、真に中小企業のためとなるビジネスモデルへの転換を実現できる人材」

 検討会の提言には、商工中金の新たなトップの資質についても書かれていた。本来なら、この提言を受けて人選が始まるのが筋だ。しかし、実際は11日午後に商工中金の人事委員会が開かれ、関根氏の次期社長就任が決められたという。

 「驚いた。どうやら経産省主導で決めたようだ」。スピード決定に金融業界も驚きを隠さない。現職の安達社長を含め、商工中金の歴代社長は経産省出身者が名を連ねる。今回は不祥事を受けて省外から選ぶ方針だったが、影響力を残す思惑が透けてみえる。

 検討会の提言をみても、経産省が軌道修正を図った痕跡がうかがえる。公開の場で議論していた際は、数年後に完全民営化させる方向で大筋合意していたが、提言では4年後に検証し、「移行を判断する」と含みを持たせる内容に変わった。

 「年末年始に調整が行われた」(関係者)とされ、天下り先でもあった商工中金を手元に置いておきたい経産省の巻き返しは今後も続きそうだ。

     (蕎麦谷里志)




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