「腰のだるさ・しびれ」は歩行困難の予兆かもしれない(ダイヤモンド・オンライン)



 腰部脊柱管狭窄症をご存じだろうか?「ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう」と読むこの病気、字面から腰のあたりの脊柱管が狭くなっているのだろうと想像はつくものの、脊柱管とは何か?それが狭くなると何が良くないのか?わからない人も多いだろう。

 実際に腰部脊柱管狭窄症と診断を受けている人は約65万人だが、推定患者数は240万人ともいわれる。患者数が多く、メディアでもよく取り上げられるわりに認知度が低く思えるのは、病名の読みにくさもあるだろうが、後述のように痛みを伴わない場合もある症状や、患者が高年齢層に集中していることも関係するのかもしれない。

● 腰痛がないケースも多く 治療開始が遅れることも

 この病気の代表的な症状のひとつが「長い距離を続けて歩くことができない」ことで、その結果、歩行と休息を繰り返さざるをえない「間歇性跛行」(かんけつせいはこう)が見られる。

 腰痛はあまり強くなく、ほとんど感じない人もいる。安静にしている際には症状がないが、背筋を伸ばして立ったり歩いたりすると、ももや膝から下にしびれやだるさ、痛みが出て歩きづらくなる。この場合、前かがみになったり腰かけたりすると症状は軽減される。高齢者に前かがみで歩く人が見受けられるが、この病気で苦しんでいる場合も多いはずだ。

 腰部の病気の症状といえば「腰痛」をまず思い浮かべるが、腰部脊柱管狭窄症では先述のように腰痛が軽いか、感じない場合も珍しくない。その他の症状も姿勢を変えたり腰かければラクになる。よって多くの人が病院に行かず、以前より歩けなくなったのは「年齢のせいだ」「運動不足のせいだ」で片付けてしまうのが、診断を受けていない患者が多い理由のひとつだろう。

● 脊柱管は加齢により誰でも狭くなる 中高年は要注意

 脊柱管は背骨などの組織に囲まれた管状の空間、いわば脊髄の神経が通るトンネルだ。年齢を重ねると背骨が変形したり、椎間板がふくらんだりと、さまざまな要因で脊柱管が狭くなってしまう。その結果、管内の神経や伴走する血管が圧迫を受けやすくなり、しびれや痛みが生じるのだ。

 組織を変形させる要因としては、加齢の他に、労働や運動などが考えられる。個人差はあるものの、腰に負担をかける労働や運動を長年続けてきた人はリスクが高まるわけだ。実際、中高年になってから発症することが多い。

 脊柱管は加齢により、誰でも確実に狭くなっていくので、自覚症状がない人も一年後のことは分からない。いまは関心がない若い人も、いずれは直面することになるかもしれない。

 予防法はふだんの生活の中で、腰に負担をかける運動や姿勢を避け、進行を遅くすることくらいである。

● 手術以外にも 有効な治療法は多い

 多くの人はしびれや痛み、歩行困難がひどくなってから病院を訪れる。腰部脊柱管狭窄症か否かは、問診や画像検査で比較的容易に判断可能だ。検査の結果、重症だと判断されなかった場合には、理学療法や運動療法を受ける、コルセットをつける、神経ブロックを受ける、脊髄の神経の血行を良くする薬を服用するなど手術をしない保存療法が進められる。

 歩行障害がひどく日常生活が困難な場合には手術も大きな選択肢である。腰部脊柱管狭窄症の手術は、簡単にいえば神経を圧迫している骨などを取り除き、神経への圧迫をなくすことだ。ただし複数の腰椎にまたがって狭窄があると手術も複雑になるし、圧迫を除去しても神経の働きが元に戻らずしびれなどの症状が残る場合もある。

 直接生命に関わる病気ではないが、腰に不快感をかかえ歩行が困難という状況は生活の質を著しく低下させる。足でかせぐ仕事に就いているのなら死活問題だ。

 長い距離を歩けなくなった、腰や足に原因不明の痛みやしびれがある、よくつまづくようになったという場合、加齢や運動不足のせいで済ますより、整形外科を訪れたほうがいいかもしれない。他のほとんどの病気と同様に、治療を始めるのは早ければ早いほどいいのだ。

 (ライター 工藤 渉)

 参考URL:

 日本整形外科学会
https://www.joa.or.jp/jp/public/sick/condition/lumbar_spinal_stenosis.html

 厚生労働省 特定疾病の考え方
http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html

 大日本住友製薬 
http://kanja.ds-pharma.jp/health/koshimage/qanda_01.html

工藤 渉



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