<コラム>中国の環境保護産業は急成長、ただ不協和音も



最近になってやっと中国も環境保護監督力が強化されてきた。加えて国策による支援も強化されたことで、中国の環境保護産業は急激に成長した。しかし現在行われている入札過程で、技術を見ず価格のみを評価するいわゆる「低価格落札現象」の激しさが増し、環境保護業界を「悪性循環症」に陥れている。多くの企業が争って環境保護市場に参入、ユーザーへの投資モデル(例えばPPP<Public Private Partnership=官民パートナーシップ>、BOT<Build Operate Transfer=建設・運営・移転>など)を取り入れることで、資本コストを引き上げている。

中国の環境保護産業は「佳境」に入っている。先日開催された中国環境保護産業イノベーションフォーラムで、中国の環境保護産業協会が、データを示している。2016年の環境保護産業の実質売上は1兆1500億元(約18.8兆円)、前年同期比20%増となっていると指摘。このうち環境サービス業は6100億元(約9.9兆円)を叩き出しており環境保護産業の筆頭になっている。

具体的には、数年前から大気汚染処理が進んだことで、大気汚染処理市場シェアが下降している一方、水汚染処理業界はPPPが牽引し急成長をしている。固形廃棄物処理業界では、生活ゴミ処理、危険廃棄物処理等が大幅に成長。土壤修復や重金属処理業界は成長テイクオフの段階にある。注目すべきは、環境保護監督・検査活動が厳しさを増したことに伴い、汚染源オンライン検査業界はこの数年急激な発展を見せている。

環境保護産業の急成長の背後には、深刻度を増す環境情勢と関連政策により支援がある。粗放な経済発展モデルにより環境汚染をより複雑にしたことが、皮肉にも環境保護産業発展で巨大市場を生み出した。

前出のように本年上半期の環境保護産業の売上額は6000億元(約9814億円)となり、前年同期比で10~20%増だ。しかし環境保護産業は大きく前進しているものの不協和音も出ている。

入札過程では、ユーザーは「技術は二の次価格面」しか見ておらず、低価格追求が勢いを増している。中国環境保護産業協会は、低価格落札が最も多く発生している分野がゴミ焼却と指摘する。最近の落札価格は160元(約2617円)/トンから18元(約294円)/トンまで下げている、これはすでに業界が公認するコスト価格を大きく下回っている。

汚水処理業界もこの流れから逃げられない。例えば2年前、安徽安慶市都市部汚水收集処理施設・管網一体化PPP(官民連携)プロジェクトの汚水処理落札価格はなんと0.39元(約6.37円)/トンが大きく報道され、業界を驚愕させた。

全国の汚水処理施設の平均運転コストは約1.03元(約16.8円)/トン、平均住民汚水処理費標準価格は0.76元(約12.4円)/トンだ。余りに実態からかけ離れたプロジェクトコストの悪性競争現象は、環境保護産業の発展阻害となっているのが現状である。

一方環境保護産業のコストが上昇していることも懸念されている。数年前環境保護産業の平均利潤率は8%だった。ある業界では10%にもなっている。しかし業界関係者は、5%程度でも「御の字」だと言う。こうした現象を見ると、多くの企業が環境保護市場に参入し、競争を激化させる一方で、市場シェアの奪い合いで一部の環境保護企業はユーザー確保のための投資で資金調達ストレスが起こり、過重の負担を強いている。

筆者はこれからの環境保護産業の成長は汚染整備の集約化、企業の株式化、投資ルートの多元化、サービスモデルの個性化、運用メカニズムの企業化、サービス部門の専業化、サービス質量の標準化、市場管理の制度化へと向かうと見ている。

■筆者プロフィール:内藤康行
1950年生まれ。横浜在住。中学生時代、図書館で「西遊記」を読後、中国に興味を持ち、台湾で中国語を学ぶ。以来40年近く中国との関わりを持ち現在に至る。中国の環境全般とそれに関わるビジネスを専門とするコンサルタント、中国環境事情リサーチャーとして情報を発信している。




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