EU域内に拠点を義務付け 欧州委、デリバティブ決済で見直し案



 欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、英国のEU離脱に備えて、ユーロ建て取引のクリアリング(清算・決済)拠点にEU域内の立地を義務付ける見直し案を準備している。ロンドンが牛耳ってきたクリアリング業務の支配権を奪い返すことが狙いだ。

 これに対し、デリバティブ(金融派生商品)業界団体は、立地の強制がコスト増大を招くと牽制(けんせい)する。

 国際スワップデリバティブ協会(ISDA)は、欧州委のドムブロフスキス副委員長(ユーロ・社会対話・金融サービス担当)に宛てた8日付の書簡で、EU域内を拠点とするクリアリングハウス(清算・決済機関)によるユーロ建て金利デリバティブの清算・決済が義務付けられた場合、イニシャルマージン(当初証拠金)が最大20%高くなる見通しだと11行の調査結果に基づいて主張した。

 ISDAのスコット・オマリア最高経営責任者は書簡で、クリアリングハウスに立地が強制されれば、「EU企業の資本要件が押し上げられる可能性が高い」と指摘。「これらのコストは英国とEUの顧客に間違いなく波及し、リスクヘッジのコストが上昇するだろう。EUがふさわしい監督の役割を担うことは不適切ではなく、EUと英国の監督当局間で何らかの合意が成立することを期待する」と述べた。

 英国のEU離脱後は、ロンドンに拠点を置く企業がEUの監督外に置かれることになるため、クリアリングの問題はEU離脱交渉の火種の一つに浮上している。

 関係者によると、欧州委はEUの金融システムにとって重要な域外のクリアリングハウスの監督を抜本的に見直す指令案を公表する見通しだ。




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