米の脅しにカナダ屈さず NAFTA交渉打開、自動車でアプローチ



 トランプ米大統領が北米自由貿易協定(NAFTA)から離脱しかねないとの懸念を表明したカナダ政府が、自動車分野をめぐる行き詰まりの打開を目指しながら交渉の前進を図ろうとしている。NAFTA交渉は23日に加モントリオールで再開されるが、トランプ大統領は11日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)で、「NAFTAが自分の望むように改定されないなら米国は脱退する」との考えを改めて示しており、交渉は難航が予想される。

 ◆高まる離脱の懸念

 カナダのフリーランド外相は11日、「次の第6回協議で新しいアイデアを提起する」と表明した。新しいアイデアの詳細について言及していないが、ある政府当局者は「カナダは自動車貿易ルールに関する論争にアプローチをシフトする構えだ」と明かす。こうした取り組みは、貿易収支を均衡させるために同協定の抜本的改革を要求している米国の交渉担当者を満足させようと自動車ルールに重点を置くメキシコのイニシアチブに合致する可能性がある。

 過去5回にわたる交渉の成果は乏しく、次の交渉ではトランプ大統領がNAFTA離脱に向け6カ月前の事前通知をするとの懸念が高まっている。

 カナダ政府当局者が10日、「米国のNAFTA離脱の可能性が高まりつつある」と発言したことを受け、カナダドルやメキシコペソ、NAFTA関連銘柄株は値下がりした。ホワイトハウス当局はその後、「NAFTAに対する大統領のスタンスは変わっていない」と説明した。

 フリーランド外相は11日、「一段と型破りな米国の提案については、われわれは創造的に思考し、カナダの利害関係者と話し合っている。全当事者に善意があれば、モントリオールで素晴らしい結果を出せるだろう」と話した。同外相の発言を株式市場は好感。カナダの自動車部品メーカーのマグナ・インターナショナルと同業のリナマーの株価が反騰した。

 フリーランド外相は「一部項目をめぐり3カ国の合意は間近だ」とも述べた。米国はNAFTA再交渉で、乳製品、紛争解決手続き、政府調達ならびに加盟する全3カ国が協定更新に合意しない限りNAFTAが5年後に失効する「サンセット条項」などについても厳しい要求を2カ国に突きつけている。

 これまでトランプ大統領は国境の壁の建設費用をメキシコに負担させると述べていたが、WSJとのインタビューで「彼らはNAFTAを通じて間接的にその費用を支払える」と発言。「われわれはNAFTAで好条件を引き出し、例えばその利益のうち少額を取り、壁の建設に充てるだろう」と語った。

 トランプ大統領はまた、7月のメキシコ大統領選挙後まではNAFTAに関して「若干柔軟になる用意がある」と述べたが、詳細については明らかにしなかった。ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表は次の再交渉協議の前にワシントンでメキシコのグアハルド経済相との会談を予定している。

 ◆不測の事態に備え

 フリーランド外相は米国がNAFTA離脱通知を行う可能性については明言していない。こうした告知に拘束力はなく、必ずしもNAFTAが崩壊するわけではない。同外相は「米国は交渉再開前から離脱の可能性を明確にしてきた。カナダはこれを深刻に受け止めなければならない。カナダ政府はあらゆる不測の事態に備えている」と強調した。(ブルームバーグ John Wingrove、Andrew Mayeda)




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