「人づくり革命」に2兆円、慎重な見極め重要 子育て支援、消費刺激狙う



 安倍首相が、消費税の使途を「人づくり革命」の財源に振り向けるよう指示したのは、現役世代の家計負担を減らし、増税で冷えかねない消費意欲を刺激したいという狙いもある。もっとも、所得が高い層の家計負担が減っても消費には回らないといった指摘があり、制度設計では無償化の対象などを慎重に見極める必要がある。

 内閣府が25日発表した9月の月例経済報告では、景気拡大が戦後2番目の長さ(58カ月)に達した可能性が高まった。政府内からは「足元の経済指標をみる限り、消費税を増税しない理由はない」との声があがっている。

 今回、消費税を教育無償化にあてる狙いの一つには、子育て世代を「社会全体で支える」(明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミスト)との考えがある。子供1人当たりの教育費は、幼稚園から大学まで全て公立に通わせたとしても総額約1000万円かかるとの試算もあり、子育ては現役世代の将来不安の大きな理由になっている。

 だが、増税には「一定の消費押し下げ効果がある」(小玉氏)。問題は使途変更による2兆円規模の財政支出で増税の悪影響を相殺できるかだ。

 第一生命経済研究所の永浜利広首席エコノミストは、相殺するにはこの規模では「小さい」とした上で、「(教育費負担の軽減で)使えるお金が増えても、所得の少ない家計のほうが消費に回す傾向が強いことも考慮しなければならない」と指摘する。

 2兆円の使い方についても、安倍首相は大学無償化を低所得層に限るなどとしているが、永浜氏は支援の対象を厳格に絞る必要があると訴える。

 また、東京五輪の特需がはげ落ちている恐れもある2019年10月時点の経済情勢の見極めも重要で、「増税ありきではない」(永浜氏)検討が求められそうだ。(山口暢彦)




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