「BBCの取材中に子どもが闖入した動画」を深読みする



韓国の朴槿恵前大統領の罷免に関して、朝鮮情勢に詳しい専門家としてBBCのニュース番組に自宅からゲスト出演した米国人研究者の動画が、先週末に話題になった。

【韓国政治の解説中に子どもたちが闖入──可愛らしさ満点の動画はこちら】

自社の番組で起こった“放送事故”をYouTubeで公開するところに、英国らしいユーモアセンスさえ感じられる。小さな子どもと一緒に暮らした経験を持つ人なら他人事とは思えないハプニングで、小難しい解説など不要なことは間違いないが、それでも詳しく観察すると様々なことが見えてくる。

この動画の魅力を分析した解説記事「Breaking Down the Father on BBC Being Interrupted by His Children」を読むと、動画を一見しただけではわからなかった様々なことがクリアになってくる。今回はこのコラムを紹介したい。

BBC出演は“晴れ舞台”だった

まず、この動画の“表の主人公”にあたる男性、ロバート・ケリー氏という人物を紹介しよう。ケリー氏は、韓国の釜山大学で政治学の教鞭を執る国際政治の研究者だ。ニューズウィーク日本版にもコラムを寄稿しており、例えば「韓国政治の未熟な実態を物語る、朴槿恵『弾劾案可決』」はBBCのインタビューのテーマと重なる部分が多い。

そんなケリー氏は、母校オハイオ州立大学での講師を経て現在のポストに着任したようだ。動画を分析したベン・トンプソン氏(詳細は後述)は、ケリー氏のこの経歴に着目。大学入学から博士号取得まで12年間も学問を続けた末に、講師という「スターバックスのバリスタとほぼ同じ賃金しか得られない仕事」(トンプソン氏)に就いた。それが米国の大学に比べればやや魅力に欠けるはずの釜山大学の仕事に飛び込んだ理由ではないだろうか、と推測している。

そういう背景が見えてくると、若いケリー氏にとってこのBBCのインタビューがいかに重要な晴れ舞台だったかが分かる。

さらにトンプソン氏は、自宅にいながらジャケットにネクタイを着用して登場したケリー氏の姿や、後ろの壁に掲げられた世界地図、右後方のベッド上にきっちりと積み上げられた書籍などに着目。極東情勢の専門家として売り出したいケリー氏が、周到な準備の上でインタビューに臨んだとしている。同時に、それでも2つほど手抜かりがあったようだ。

手抜かりのひとつ目は、向かって左側後方に何か飛び出しているものがあること。そしてもうひとつは、部屋のドアをロックしていなかったこと、だ。もっとも、後者の手抜かりがなければ、この動画がこれほど大きな注目を集めることもなかったであろう。

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