日銀悩ます原油高 物価「2%」目標 家計の節約意識に警戒感



 「異次元の金融緩和」を続ける日銀にとって、原油価格の上昇は悩ましい問題だ。物価上昇率2%の目標達成には追い風となるものの、家計の節約意識が高まれば、企業が再び値下げ競争に走る可能性があるからだ。世界的な金利上昇で、日銀による長期金利の誘導目標引き上げ観測がくすぶる中、日銀が望みを託すのは賃上げの動向だ。

 日銀は短期金利をマイナス0・1%、長期金利を0%程度に誘導するため、国債を大量に買い続けている。昨年11月の生鮮食品を除く消費者物価の前年同月比上昇率は0・9%にとどまった。市場では、日銀がこの先じっくりと緩和を続けるためにも、年内にも操作金利を引き上げるとの見方が出ている。そこで注目されるのは、家計や企業の中長期的な予想物価上昇率の動きだ。

 消費者はガソリン価格や光熱費に敏感だ。日銀が11日公表した生活意識調査では、1年後の物価について、「上がる」との回答は75・6%を占め、前回から5・2ポイント伸びた。1年後の物価上昇率見通しの中央値は前回の2・0%から3・0%に上昇。4年9カ月ぶりに上振れた。日銀は「収入がさえない割に支出が増えたことで、暮らし向きが悪化したと感じる人が増えた」と分析している。

 一方、昨年12月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、1年後の企業の物価上昇率見通しは0・8%。前回9月調査から小幅上昇にとどまった。

 野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは「消費者の節約意識が強まれば、企業は値上げしにくくなる。賃金が上がらない限り、政府・日銀が目指す物価上昇と景気回復は両立できない」と指摘する。

 日銀の黒田東彦総裁は年初のあいさつで、デフレ退治の苦労をこう表現した。

 「昨年末、東京に130年ぶりに降った初雪はすぐに解けたが、デフレマインドはなかなか解けない」

       (米沢文)




こんな記事もよく読まれています



コメントを残す