NHK判決で「テレビ局離れ」が進む



いっそチューナーを破壊する手もある:

2017年12月08日 13時15分更新

文● 掛谷英紀(筑波大学准教授) 編集● ASCII編集部

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最高裁が6日、NHKの受信契約の義務規定を初めて「合憲」と判断した。NHKだけを映らなくするアンテナ線フィルター「イラネッチケー」を開発した筑波大学 掛谷英紀准教授は、今後も司法はNHKに有利な判決を続けると予想。その上で今回の判決を機にアマゾン「FireTV」などネット動画を中心とした生活に切り替え、民放も含めた「テレビ局離れ」を進める消費者が増えると推測する。

いっそチューナーを破壊する手もある

 NHKとの契約強制が違憲との判決をすることの社会的影響の大きさを考えれば、合憲との判断が下されることは当然予想されたことである。

 ただ、世論の反発は予想以上に大きいようで、判決以降、我々が開発したNHKだけ映らなくするアンテナ線フィルター(商品名イラネッチケー)が飛ぶように売れている。このフィルターはこれまで2000本近く売れているが、今後このフィルターを付けてNHKに抵抗しようとする人はさらに増えると予想される。

 今回の判決について、テレビを設置したら契約をしなければならないと報じているメディアが多い。しかし、放送法64条には「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」とある。ここでいう協会とは日本放送協会、すなわちNHKのことで、条文を文字通り解釈すれば、たとえテレビ受信機があっても、NHKの放送を受信できなければ、NHKとの契約は不要であると考えられる。

 今回の判決でも、放送法64条でいうところの受信機が、NHKの放送を受信できない受信機をも含むとの判断はなされていない。

 しかしながら、アンテナ線フィルターが取り外せる状態での裁判については、既に敗訴が確定している。

 現在、アンテナ線フィルターをテレビ受像機に埋め込んで、フィルターを外すとテレビ受像機が壊れる状態にして新たな裁判を係争中である。その訴訟において、NHK側は、NHKが映らなくても民放が映るならNHKと受信契約をする必要があるという、放送法64条の条文を無視した主張をしてきている。

 とはいえ、日本の司法は基本的に事なかれ主義である。多くの人がテレビ受像機を捨てるなど、NHKへの世論の反発が実行力のある社会運動にならない限り、今後もNHKに有利な判決が続くと予想される。

 テレビ受像機を捨てるのがもったいない人は、チューナーだけ壊すという手もある。NHKとの裁判でNHK側が出してきた東京大学の玉井克哉氏の意見書では、チューナーが壊れている場合は契約の義務がないと書かれている。よって、チューナーを破壊すれば、NHKとの契約そのものを解消できることは、ほぼ確実な状況である。

 最近はアマゾンのFire TVなど、既存のテレビ以外にも豊富な映像コンテンツを入手する方法がある。NHKカットフィルターによってNHKの放送だけ遮断するのも一つの手であるが、NHKだけでなく民放も含めた全てのテレビ局と決別しても、生活には困らない時代になっている。この判決を契機に、そうした選択をとる人は今後徐々に増えていくと考えられる。

●掛谷英紀(かけや ひでき)

筑波大学准教授。視覚メディア研究室所属。専門は光工学・光量子科学、知能情報学。2015年「ニコニコ超会議ニコニコ学会β」でNHKだけが映らないアンテナ線フィルター(イラネッチケー)を発表、「研究してみたマッドネス大賞」を受賞した。イラネッチケーはAmazonなどで販売中。著書に『学者のウソ』『学問とは何か:専門家・メディア・科学技術の倫理』など。

http://trios.tsukuba.ac.jp/researcher/0000001015

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